従業員が他の従業員と良い関係性が保たれていることは、「心理的安全性」を感じていることにもつながります。この心理的安全性は、企業風土にも大きく影響を及ぼします。

 心理的安全性が注目されるきっかけになったのは、2016年にグーグルが公表した労働改革プロジェクト「プロジェクト・アリストテレス」のレポートでした。そのなかで、心理的安全性をチームが担保できているかが否かが生産性向上に大きな影響を及ぼす、ということが明らかにされています。

 レポートでは、心理的安全性を生み出す要因の1つとして「均等な発言機会」が挙げられていました。発言時間が均等に設定されていたり、リーダーがメンバー全員に対してバランス良く発言を促したり、ディスカッションが対等な立場で行われる、といったことが心理的安全性につながり、結果的にチームの生産性を高めるといいます。

Wellness(ウェルネス=心身の健康)

 最後は「Wellness」(心身の健康)です。Purpose、Authenticity、Relationship を満たすためにも、ウェルネスは欠かせません。いくらやる気が高く、周りの人と良好な関係を築いていたとしても、バーンアウト(燃え尽き)してしまっては意味がないのです。

 心身の健康を維持するためには、それを目的とした時間やエネルギーを割く必要があります。また不要な仕事をなくし、長時間労働の削減も心掛けるべきでしょう。

 会社側としては、「健康経営」の推進が求められます。会社が個人の健康に対して「投資」を行うのです。ジョンソン・エンド・ジョンソンの調査によると、健康経営に対する投資1ドルに対して、そのリターンは約3ドルになると言います。社員の幸福度を高めるためにも、社員の健康への投資は欠かせない要因となります。

 以上、「仕事における幸せ」を形作る要素について紹介してきました。なお、拙著『パーパス・マネジメント――社員の幸せを大切にする経営』では、これらを踏まえ、企業において具体的に行うべきこと、また、社員の幸せをデザインするリーダー「CHO」 (Chief Happiness Officer)についてさらに詳しく解説しています。ぜひお読みいただけると幸いです。