「おまえはジャップか?」

 「いや、私は日本人だ。お前はヤンキーか?」

 「そうだ。俺は昔、アツギから朝鮮戦争に出撃したことがある。日本は原爆落としてもらって感謝しろ・・・」

 やり取り後半は無視して取り合わず、スラングで喚く老人は置き去りました。

 どうやら相手にしてほしかったらしい。孤独なのかもしれませんが、そういうおつき合いは御免こうむりました。

 不平高齢者の右傾化したうっぷん、ほかの国にも何となく通じる空気を感じました。

 ともあれ日本国内だけ向けのシナリオは、井の中を1ミリ出ても、全く通用しません。襟を正す必要を常に感じるゆえんです。

 今回発見された「忘れられたベルリンの壁」は、ちょうど御茶ノ水と秋葉原の間、湯島天神、旧幕府の官学「昌平坂学問所」の塀のように、目立たずひっそりと「冷戦」から「冷戦後」が終わった後まで、緑に埋もれて眠っていたように見えます。

(つづく)