失われた場所を求めて─独ベルリンで都市探検が静かなブーム

ドイツ首都ベルリン市内の廃屋を訪れ、メモを取るジャーナリスト(2017年5月12日撮影)。(c)AFP/John MACDOUGALL〔AFPBB News

 ベルリンの壁が存続した期間よりも長い年月が経った2018年、意外なものが通行人によって偶然発見されました。

 何と、壊され損ねて残っていた「壁」の一部が見つかったのです。

 両側を木々に覆われ、ビルの谷間で開発から取り残された一角に、たった14メートル分だけ壊されなかったベルリンの壁が、あの日=1989年11月9日を超えて29年間、ひっそりと残っていたのです。

再発見された「ベルリンの壁」Ida-von-Arnim-Strasse, Berlin.

 早速調査が入り、冷戦末期、1985年頃に作り足されたものと思われる、まぎれもない本物の「ベルリンの壁」と認定されました。

 再発見された現場はイダ=フォン=アルニム通り(Ida-von-Arnim-Strasse)というベルリン中北部の小さな通り沿いの工事現場です。

工事現場で掘り起こされた木の根っこと、蔦や立ち木の緑に隠されていたベルリンの壁が顔をのぞかせたところ。

 ベルリンの壁が残されている「ベルナウアー通り」近くの保存地区を訪れると、壁の跡がベルリン北駅(Ost Bahnhof)で切れているのが目に留まると思います。

ベルリン北駅で途切れる「壁の跡」、その先はどこへ・・・?

 この延長はどうなっているのだろう・・・と、北駅の先の方まで歩いてみて、繁華街の中心、フリードリヒ・シュトラーセ駅方向に出てしまい、よく分からなかったことがありました。

 実はここで、ベルリンの壁は全く違う方向に向きを変えていたのです。