日本では、凄惨な事件が起きた現場などを、タブーとしてオフリミットに置くことが多いように思います。
さて、ところ変わってヨーロッパではどうでしょうか?
2016年12月19日、クリスマスで賑わうドイツのベルリン中心部、カイザー・ヴィルヘルム教会脇で発生した無差別テロ事件。
ポーランド籍の巨大トラックがクリスマス・マーケットに突っ込み、犠牲者12人(射殺された犯人を含む) 負傷者56人の大惨事となりましたが、この現場はいまどうなっているかと言うと・・・。
8月6日から12日にかけて「ヨーロッパ陸上競技選手権大会」のイベント主会場になっています。
トラックが突っ込んで来た、まさにそのルートには「ウエルカム!」と記されたゲートが設えられています。
大惨事が起きた現場は、子供たちが遊べる遊具が設えられていました。
「私たちは決してテロの脅威に屈しない。ここで自粛などしたら、彼らの思う壺だ」
「むしろより高らかに、スポーツと平和の祭典を、この現場で行うことこそが、慰霊と再発防止の最高の実現になる」
というのが、ドイツ側の考え方であり、市民もそのように考えています。日本社会とは相当の開きがあると言えそうです。
ちなみに、強調するまでもないと思いますが、ありとあらゆるテロ対策が、万全に講じられていることは言う迄もありません。
莫大なコストもかけていることでしょう。
日本人の一般常識からすると、やり過ぎとも見えるかもしれない、かなり強烈なアピールですが、ドイツは「プロテスタント」抵抗の宗教改革で国民性を養ってきた社会です。
それが悪く出ると、1930年代のような展開もあったわけですが、「テロリストの蛮行に屈しない」という陽性の反応には、学ぶべきところが多々あるように思います。