「ありがとう」の声は、一言で言うと「提供価値」です。一貫性を持って価値を提供し続けると、それがあなたのパーソナルブランドに繋がっていきます。これが資質に沿っていれば速くラクにあなたのパーソナルブランドが確立するのです。

 逆に資質に沿っていない、無理をした「ありがとう」はいつか無理がきます。後になって「こりん星はなかったの」ということになってしまうと、ビジネスパーソンとしては終わってしまいます。

20社連続「書類落ち」のアラフィフが秘めていた価値

 具体例をみてみましょう。

 アラフィフで転職を考え始めたAさん、53歳。大手システム会社でSEを30年。職務経歴を見る限り、ごく普通。差別化のポイントなし。実際20社連続で書類落ちしていました。

 Aさんがもらってきた「ありがとう」の声を探っていくと、30年以上、一緒のプロジェクトに入った女性社員がメンタル不調になったり、退職したりすることがなかったことが分かりました。本人によく聞いてみると、不調や退職に追い込まないノウハウを持っていました。これは貴重な人材価値と言えます。

 このポイントを軸に自己PRを書き換えました。今までは担当したプロジェクトの規模、期間、役割中心だった文面から、「女性社員のメンタル不調や退職者を出さないマネジメントができ、そのノウハウを他のマネジャーにも教え広めることができる」という内容を自己PRの1行目に書き、そのノウハウを裏付けする数字や事実を示しました。

 結果、女性社員のメンタル不調や離職率が高く悩んでいる中堅システム会社への転職話がトントン拍子で進み、見事に幹部として受け入られました。年収も2割上がったそうです。

 プロジェクトの規模や内容、それに準ずる強みでは見向きされませんでしたが、自己PRを「ありがとう」の声をもとに組み直すだけで大逆転が可能になったのです。

「ありがとう」の声はどう調べるたらいいのでしょうか。職場や家族など周りの人に聞くのが速いです。人間は他人を客観視することは簡単ですが、自分を客観視することは苦手なものです。誰しも持っている「自分をかっこよく魅せたい」という欲求が、客観視の妨げになってしまうからです。