もっともツイッターは、瞬間的に反応して返信するという役割を持ったツールでもあり、勘違いによる返信が一定数存在することはやむを得ないことかもしれない。しかしながら、文章が読めていないという指摘はこれ以外にも存在している。

 投資銀行家で「ぐっちーさん」の愛称でも知られる山口正洋氏は、ビジネス上のメールの内容をきちんと読めていない人が多いと自身のコラムで指摘している。内容があいまいなまま物事が進むので、実際に会って内容を再確認しなければならず、これが日本の生産性を引き下げているという。

 この話は、筆者にも思い当たるフシがある。筆者は10年以上、コンサルティング会社を経営してきた経験を持っているが、確かに一部のビジネスパーソンは、業務上のやり取りについて内容を十分に把握できていなかった。こうした状態を放置すると経営に支障を来すため、筆者は、可能な限り箇条書きにする、要件ごとにメールを分ける、確認のメールを送るといった対策を施していた。

 ちなみに、メールをやり取りしている相手というのは、いわゆる高学歴な人物ばかりであり、基礎学力という点ではトップクラスに属している。少なくとも、現時点において学力が高いからといって、読解力も相応に身につけているとは限らないということになる。

 たかがメールのやり取りではあるが、山口氏が指摘しているように、これが社会全体の生産性を引き下げているのだとすると由々しき問題である。

日本でテレワークが進まない理由

 文章の読解力がどのように確立するのかというのは、実は非常に奥が深いテーマで、簡単に答えが出せるものではない。単純に文章を読むテクニックに依存する部分もあるだろうし、論理性の有無といった思考回路の問題も関係してくるはずだ。

 これに加えてメンタルな影響も無視できない。感情が先に立ってしまうと、自分の感情やイメージに沿ったキーワードだけを無意識的に抽出し、まったく異なる結論を導き出してしまうことがよくあるからだ。