パクチーサラダやパクチー餃子など、パクチーを使った料理が人気だ。パクチーはエスニック料理に使われる香草(ハーブ)だが、その本場のタイでは日本のようにパクチーを食べないと耳にした。はたして本当にそうなのか。タイに行く機会を得たので、タイ人の食生活を探ってみた。
パクチー嫌いなタイ人も
ここ数年、日本ではパクチーがブームだ。独特の香りに嫌いな人も多いが、一度好きになるとやみつきになり、「パクチニスト」と呼ばれるほどの虜になるとか。
パクチーとはセリ科の1年草で、パセリに似ているが、香りはまったく異なる。タイ料理やベトナム料理などのほか、中華料理にも使われ、中国ではパクチーのことを「香菜(シャンツァイ)」ともいう。
日本では、実や葉を乾燥させたものを胡荽(こすい)あるいはコリアンダーと呼ばれるスパイスとして使うことはあったが、パクチーを生で食べることはほとんどなかった。エスニック料理のレストランの増加とともに、日本人の食生活にもパクチーが浸透してきた。
「タイでは、パクチーは日本のシソやパセリみたいなもの。パクチーが嫌いなタイ人も結構いて、わざわざよけて食べる人もいます」と、タイに5年ほど在住している外谷佳苗さんは話す。パクチーはタイ料理の象徴のようなものと思っていたが、そこまでではないようだ。たしかにあらゆる料理でパクチーを見かけたが、数種類の香草ととともに入っていて、パクチー山盛りの料理は見かけなかった。
そこで、タイ人のピンさん(本名はニティヤー・ジャーヘムさん。タイでは普段は愛称を使う)に日本のパクチー料理のことを話すと、「パクチーはいろいろな料理によく使われるが、そんなにパクチーばかりを食べることはない」と驚いていた。
「パクチーファランもよく食べますよ」とピンさんは続ける。「パクチーファラン」はパクチーと同じセリ科の植物で「オオバコエンドロ」ともいう。細長い葉で、見た目はだいぶパクチーと異なるが、パクチーのような香りを強く感じる。