新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」から選りすぐりの記事をお届けします。
国家主席の任期撤廃 「中国が決めること」 米大統領報道官

アメリカは、グローバリズムを体現してきたリーダー役を降り、中国ロシアと同じ土俵で争う時代になった。米国のドナルド・トランプ大統領(右)と中国の習近平国家主席(2017年11月9日撮影)。(c)AFP/NICOLAS ASFOURI〔AFPBB News

(文:杉田弘毅)

 共同通信社論説委員長の杉田弘毅氏が上梓した『「ポスト・グローバル時代」の地政学』(新潮選書)に、ますます注目が集まっている。長年国際報道の第一線に立ち続けた杉田氏が、「地政学」と「怒り」というキーワードで、現在そして未来の国際社会を読み解いたという労作だ。

 杉田氏は1957年生まれ。一橋大学を卒業後共同通信社に入社し、テヘラン支局長、ニューヨーク特派員、ワシントン特派員、ワシントン支局長を務めるなど、豊富な取材経験に裏打ちされた確かな目が、この本の隅々にまで行き届いている。

 そんな杉田氏に、この本の狙いについて話を聞いた。

グローバリズムの時代が到来しかけたが

 私はこれまで30年、記者として国際情勢の取材を続けてきました。そこで得た結論が、この『「ポスト・グローバル時代」の地政学』で詳細に論じた、「地政学」と人間の「怒り」が相互に作用し合って世界を動かす、新しい時代が到来したという認識です。

 ではその地政学とはそもそも何か。これは19世紀後半にヨーロッパで盛んになったもので、地理や地形、自然環境、資源など人間の知恵をもっても変えられない不変の要素を基に、政治や戦略を分析し立案していくというものです。

 これ以前の時代は、ヨーロッパ地域におけるグローバルな時代があったわけですね。ハプスブルク家や他の王侯貴族がそうでしたが、国境や民族を超えて通婚し、統治するという形態がありました。

 ところが1789年のフランス革命に端を発し、1871年のドイツ統一へと至る中で、いわゆる「国民国家」が出現し、発展してきた。この国民国家が、私の言う「地政学」と人間の「怒り」の両方を生み出すことになります。

 まず地政学ですが、国民国家の誕生は、為政者だけでなく国民も、国家戦略を意識するようになります。地理や地形、資源が国力をどう決定し、その中で影響圏をどう拡大して国益の実現を図るのか、という戦略が必要になったわけですね。ただこの段階では、地政学のフィールドは主に「陸」で始まり、やがて「海」をも想定したものに移っていくわけです。

 その結果20世紀に入って、人類は2度の世界大戦を経験しました。

◎新潮社フォーサイトの関連記事
習近平「一強長期政権」の成立にひそむ「陥穽」
「ニクソン」「カーター」で異なった米中ソ「三角形」の力学
「地政学」で見直すべき「稲作民渡来」の誤り