【AFP記者コラム】「怪物の腹の中」で過ごした24時間─仏海軍の原潜体験乗艦

フランスの弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)。(c)AFP/Francois Mori〔AFPBB News

 核戦略に影響する一般的諸要因をまず分析し、その後日本の核戦略について考察する。

1 核戦力のレベルおよび各レベルでの弾頭数と核戦略

・非核国

 0発、いずれかの核大国に拡大核抑止力提供を全面依存するか、敵性国の核恫喝に屈するしかない。自国の安全保障を自国の責任で保証できる自立した大国にはなり得ない。

・潜在能力抑止

 潜在保有能力あり、0発。非核国と同様の依存戦略をとるが潜在核保有国として拡大核抑止提供国からも敵性国からも国際社会からも重視される。

 今の日本が該当。韓国も潜在能力は高く、プルトニウム抽出能力を持ち、弾道ミサイル、大型潜水艦の開発を進め原子力産業、武器輸出を振興しており、過半数の国民が核保有を支持。

・即時能力抑止

 即時保有能力があり、部品を生産保管し即時組み立て可能。

 戦略は潜在能力抑止と同じだが、国際社会からの重視度は上がるものの、潜在力を核抑止力提供国も含め他国から破壊される恐れがある。日本も佐藤内閣の頃この態勢を目指した。今のイランはこの段階。

・未実証核保有抑止

 核弾頭は単発保有またはその直前、1~0発、核実験は未実施。NPT加盟国は協定違反となり国際社会から制裁を受け、核保有国から核能力を先制破壊される危険性が最も高まる。

 国家安全保障上はこの段階をできるだけ早く秘密裏に超える必要がある。1990年から核実験前の北朝鮮は外交的時間稼ぎを硬軟織り交ぜ巧みに行い、この段階を乗り切った。

・実証核保有抑止

 核弾頭を少数保有、数発から数十発、核実験を実施。できるだけ速やかに核弾頭数と運搬手段を質量ともに最小限抑止水準に引き上げ、その能力を国際社会に見せつけることが基本戦略となる。

 先制破壊を受けるおそれは残るが時間とともに核残存能力が上がるため、破壊が困難となり、先制される恐れは減少する。ただし核戦力としては実効性に欠け抑止力として不安定。2006年の核実験後から現在の北朝鮮。