「引っ越し難民」続出の背景には日本社会の構造的な問題がある(写真はイメージ)

 4月が近づき、人事異動や入学など新生活に向けた動きが活発になる中、希望通りに引っ越しができない、いわゆる「引っ越し難民」が続出している。

 これまで外食産業の深夜営業、企業における過労自殺、宅配の再配達など、働き方に関する様々な社会問題が提起されてきたが、これらの背景にあるのは、すべて人手不足という構造的要因である。だが、日本社会はこうした問題について個別の話として捉える傾向が強く、対症療法的な解決策を求めがちである。

 引っ越し難民の問題については、とりあえず日程をずらして解決するしかないが、今度は別の業界で似たような問題が発生する可能性が高い。私たちはそろそろ、人手不足という構造的問題と正面から向き合う必要があるだろう

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 今年に限らず、毎年、春の時期は企業の人事異動や卒業、入学など、引っ越しの最盛期となるため、引っ越し業者に希望通りに予約を入れるのは簡単ではなかった。だが事業者側にとっては、まさにかき入れ時であり、この時期に顧客からの注文を断るという感覚は存在していなかったはずだ。

 ところが今年は状況がまるで違っている。

 全日本トラック協会が発表した引っ越し混雑予想カレンダーによると、3月24日から4月8日にかけて特に混雑が予想されており、この時期を中心に、見積もりを依頼しても事業者から断られるというケースが続出している。仮に予約を入れることができても、極めて高額の料金を提示されることもあるようだ。