今年フランスのニコラ・サルコジ大統領は男を上げたがっている。さしずめ今週ワシントンでバラク・オバマ米大統領と会ったのが、これから続くだろう長いキャンペーンの始まりだった。
サルコジ氏の敵はIMF専務理事?
来年2012年は大統領選挙イヤー(自分自身の)だというのに、人気は低迷したままだ。
ライバルとして、国際通貨基金(IMF)で専務理事を務めるドミニク・ストロスカーン氏が立候補するかもしれない。報道による限り、現職有利とは言えないらしい。
それが動機の一半を占めるのか否か、あまり勘繰ってはいけないけれど、男の上げ方をサルコジ氏はほかならぬIMF大改革を進めることで狙おうとしている。
そこには国内政治的含意があると見ておいて不自然にならないだろう。
G8・G20議長の幸運
加えて国際通貨体制の変革に向け先鞭をつけるほか、経済思想に、氏が好みそうな見出しを付すならコペルニクス的転回すらもたらそうとしている。「脱・GDP信仰」の勧奨である。
それもこれも、今年フランスがG8・G20で議長国、氏は自ら議長となる好機幸運をとらえてのこと、内外に大政治家ぶりを印象づけ得るまたとない機会と踏んでのことだ。
とこのくらいは、想像のみに依拠して断定したところで非常識にはなるまい。想像ついで、サルコジ氏のアタマにあるだろう思惑を思い描いてみる。
The Westの凋落を食い止める
なにしろリーマン危機以来、The Westすなわち19世紀以来文明の名をほしいままにしてきた西欧各国は凋落の憂き目にある。世人みな、パワーの中心はもはや太平洋と中国、インドに移ったと言い募る。
いまいましくも右下に落ちる欧州とフランスの影響力曲線を、自分の力で食い止め、反転させられはしないだろうか。
この際は北京と語らい、その力を我が物として、危機の真因をもたらしたグローバルな資金の偏在を正し、ドルの過剰流動性がとめどなく放散する事態に待ったをかけることだ。