菅直人総理が5月22日「日中韓サミット」を開き、中国から来日した温家宝同国首相と会ったその直前、中国とパキスタンの関係に重要な変化があった。
このところイスラマバードとワシントンには離間が目立つ。間隙を突く北京の外交攻勢は、パキスタンをほとんど中国の衛星国にしかねまじき形勢だ。
中国とパキスタン、保護・被保護の関係
ウサマ・ビンラディン殺害のため、米軍は5月初頭パキスタンへ侵入し実力行使に出た。
イスラマバードにとって屈辱的事態ではあった。反米デモが連日街頭を覆うと思いきや、その代わりに出現したひとつ明確な帰結とは、これを機にイスラマバードが北京へ一層にじり寄ったことだ。
長らくそうだったと言えなくはなかったが、中国・パキスタン関係は、いよいよもって保護者と被保護者の間柄を思わせる姿を呈しつつある。
パキスタンの首相、ユースフ・ラザ・ギラーニ氏は5月17日上海へ入り、翌18日には北京に赴いて温首相との会談に臨んだ(19日には胡錦濤国家主席とも)。
中国製原発完成の礼を言っただろう
その前週、パキスタンはパンジャブ地方に新しい原子力発電所をオープンさせた。
発電容量330メガワットの大型原発は、中国の援助によってできた。ギラーニ訪中は、時期からみてこれへの礼を言いに行ったかたちである。
ちなみに中国は、既に契約を得たものだけであと2基、パキスタンで原発をつくる。
ポスト3.11の日本を含め先進民主主義国が原発恐怖症に身をすくめようとも、爆発する人口を抱える権威主義体制国家は、構わず原発をつくる。