――Think Labはどのようにして人が集中するのを促しているのですか。

井上 3つの視点で捉えています。1つ目は環境。2つ目は個人の取り組み方。最後の3つ目は体調管理です。

 Think Labは1点目の環境について、人が集中しやすくなる条件を取り入れました。人は5感を通じて環境から影響を受けるので、5感に沿って説明します。

 1つは視覚です。人は視野角内に植物があるとストレスが軽減されるという調査結果があります。Think Lab内では最適な割合である視野角内の10%~15%に植物が入ってくるように最適配置しています。

 光についても工夫しました。朝から夜までの太陽の動きに合わせて光の色や量をシフトさせています。こうすることで体内時計を整え、睡眠のリズムが自然に近くなるよう誘導しているのです。

 これに対して、普通のオフィスはずっと同じです。多くのオフィスワーカーは、その中に10時間以上もいることになりますが、それでは時間感覚が失われがちです。「明日しっかり集中する」ためにも、きちんと夜は眠くなって、ぐっすり眠れるようにすることが大事なんです。

ストレスを軽減できるよう、植物も最適に配置されている

 自然豊かな、いわゆるパワースポットと言われる場所の自然音を聞くと人はリラックスできますが、このリラックス効果を支えているのは、非可聴域の音域から得られる感覚です。そこでThink Labでは非可聴域の自然音を流せるハイレゾスピーカーを用意し、パワースポットの自然音を流しています。

 嗅覚については個人の好みがありますので、どれか特定の香りを漂わせればいいというわけではありません。そこでThink Labでは、ここに足を踏み入れた時に「今から集中するぞ」という脳のスイッチを入れる意味で、お坊さんが瞑想時に使う「塗香」をイメージした香りを入り口近辺に流しています。