普通のオフィスは集中に向いていない
――現代人が集中できない働き方になっている、とのことですが、具体的にはどういうことでしょうか。
井上 理由はいくつかありますが、働く人を取り巻く環境という点に着目すると、世にあるオフィスのほとんどは「コミュニケーション重視」なんです。
まず1つは人です。オフィスでは、上司、同僚、部下が多くいます。何かアイデアを練ろうと思考し始めても、コミュニケーションを重視したオフィスでは「ちょっといいですか?」と話しかけられやすく、思考が中断します。人は特定の作業で能率が上がる状態に到達するまで、平均23分間はその作業に集中していなければなりません。しかしオフィスでは平均して10分に1回は声をかけられてしまう。
音も問題です。オフィスはたいがい騒がしくて、しかも仕事で関わっている関係者の声が聞こえてくるから、やはり耳に残ります。
米マイクロソフトのカナダの研究チームが2015年に発表した報告によると、現代人の集中力は8秒しか続かず、これは金魚の9秒を下回るそうです。すべてのアイデアや問題解決法は、人の頭の中から生まれています。にもかかわらず、現代人は常に集中できない状態に置かれている。そんな状態では、斬新なアイデアや革新的な問題解決法が生まれるわけがありません。
そこで私たちは「Deep Think(ディープ・シンク)」、つまり深く考える状態を維持するにはどうしたら良いのか、というコンセプトに行き着きました。
ジンズの井上一鷹氏
あなたは“情報ルーター”に陥っていないか
――確かに昔に比べて1つの作業に没頭できるチャンスが減っているように思います。