増田宗昭氏（出所：共同通信イメージズ）
2025年はNHK大河ドラマの主役に江戸時代の版元、蔦屋重三郎（以下、蔦重）が選ばれ、江戸の出版文化に注目が集まった。その蔦重とカルチュア・コンビニエンス・クラブ（CCC）創業者・増田宗昭氏の間に「数多くの共通項がある」と語るのは、2025年9月に『二人の蔦屋 蔦屋重三郎と増田宗昭』（太田出版）を出版した湘南ストーリーブランディング研究所社長でコピーライターの川上徹也氏だ。蔦重と増田氏にはどのような共通点があるのか、そこからわれわれは何を学ぶべきか、同氏に聞いた。
蔦重と増田宗昭氏との間にある「多くの共通点」
──著書『二人の蔦屋』では、蔦重と増田氏の間に見られた「多くのシンクロニシティ（共時性）」について解説しています。どのような点がシンクロしているのでしょうか。
川上徹也氏（以下敬称略） 私は、江戸時代の起業家たちが編み出したマーケティング戦略をテーマにした『江戸式マーケ』（文藝春秋）という著書を出版しており、その中で蔦重について触れています。
その際、蔦重と血縁関係はないけれども、同じように書籍を扱い「蔦屋」の名を冠する「蔦屋書店」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ（CCC）創業者で、現在CCC会長の増田宗昭氏についてのコラムも書きました。
この時点で、蔦重と増田氏にはいくつかの共通点があることに注目していました。蔦重が江戸の色町「吉原遊郭」で幼少期を過ごしたことと同様に、増田氏は大阪府枚方市の色町「桜新地」で生まれています。そして、増田氏の祖父が副業として経営していた置屋の屋号が「蔦屋」だったのです。
また、蔦重が貸本屋からビジネスをスタートしたことに対して、増田氏が最初に始めた店は貸しレコード屋であり、レンタルビデオ店でした。2人について調べれば、そこには他にもシンクロニシティがあるのではないかと考え、出版の企画を進めました。
