1.2017年8大ニュース
年末年始になると、ロシアのメディアではゆく年を総括し、くる年を予測する。ロシアを代表する経済紙「ヴェードモスチ」は2017年の8大ニュースとして以下を選んだ。
(1)仮想通貨(暗号通貨)ブーム
(2)ロシア大手金融機関の国有化
(3)ウリュカエフ事件
(4)モスクワ都市大改造
(5)オリンピックのドーピング・スキャンダル
(6)システマ社への攻撃
(7)北朝鮮核開発問題
(8)シリア内戦
それぞれが興味深い記事になりそうなテーマである。ちなみに、「ビットコイン」や「レノヴァーツィア(大改造・レノベーション)」はロシア版2017年10大流行語に入っている。
本稿では、「ウリュカエフ事件」に注目する。
アレクセイ・ウリュカエフ氏の逮捕を巡る出来事のことであるが、ウリュカエフ氏は、2013年から経済発展大臣を務め、2016年のプーチン大統領訪日の前には日露経済協力を担当し、世耕弘成・経済産業大臣のカウンターパートだったので、ご存知の読者もいらっしゃるかもしれない。
2.ワイン&ソーセージと2本指
事件の概要は次の通りである。
2016年11月に当時経済発展相だったウリュカエフ氏が国営石油最大手ロスネフチ社を訪れた。ロスネフチ社長のイーゴリ・セーチン氏から現金200万ドルの入ったバッグを受け取り、その場にいた治安機関職員に拘束され、収賄罪で起訴された。
ちょうど2016年の秋、国営石油会社バシネフチの政府保有株がロスネフチに売却された。政府による大企業民営化政策の一環で実施されたのだが、国営企業が国営企業を買収するのは真の民営化とは言えず、政府内には強い抵抗があった。
ロスネフチ側は、ウリュカエフ氏はロスネフチがバシネフチを獲得できるよう便宜を図り、対価として200万ドルを要求した主張した。