1. 歌う中銀総裁・ナビウリナ
日ロ外交が活性化するなか、文化交流も盛んになっている。2017年11月30日、ロシアを代表するロックバンド「ムミー・トローリ」が、渋谷のクラブクアトロでコンサートを開いた。
チケットは売り切れ、会場は満員(定員750人)となった。観客の9割以上はロシア人をはじめとする旧ソ連出身者が占めた模様だが、日本のメディア関係者も訪れたようで、その評価は総じて好意的だった。
12月にもムミー・トローリに関するニュースがロシアウォッチャーをにぎわせた。
ロシア中央銀行が新紙幣(200ルーブルと2000ルーブル、それぞれセバストーポリとウラジオストクがデザインされている)のプレゼンテーション用に作成しユーチューブにアップした動画*1でムミー・トローリの代表曲「ウラジオストク2000」が使われたのだ。
さらに我々を驚かせたのは、この動画(全2分39秒)の最初から1分39秒のあたりで、画面左下にロシア中央銀行のナビウリナ総裁が出演したことだ。
G8(現在はG7になってしまったが)初の女性中央銀行総裁として注目を集めた彼女は、2014年末から2015年初めにかけての油価急落に伴うルーブル危機を見事に切り抜け、英バンカー誌では「2016年の欧州で最も優秀な中銀総裁」に選出されている。
テクノクラートとしてウラジーミル・プーチン大統領からの信頼も厚い。そんな彼女が遊び心たっぷりに新紙幣プレゼン動画に出ているのを見ると、油価上昇に伴うロシア経済の安定を認めざるを得ない。
しかし昨今の米ロ関係の全面的悪化は、2018年早々にも再びナビウリナ総裁の手腕を試すことになるかもしれない。
*1=日本語では「2,000ルーブルと200ルーブルの新紙幣は人々をおかしくする」というタイトル。https://www.youtube.com/watch?time_continue=158&v=0C85FMK3rxw