防衛省が昨年(2017年)暮れから新年にかけて、北朝鮮の軍事的脅威の高まりへの対処を口実として、様々な兵器を「輸入調達」、あるいは「輸入調達を検討する」方針を打ち出している。
具体的には、アメリカ製イージスアショア弾道ミサイル防衛システム、アメリカ製長距離巡航ミサイル、ノルウェー製長距離巡航ミサイル、アメリカ製F-35ステルス戦闘機(数十機の追加購入)、アメリカ製電子攻撃機などである。
このような武器購入に関しては、「北朝鮮危機のどさくさに紛れて敵基地攻撃能力を手に入れてしまうのは問題である」「長距離巡航ミサイルや空母艦載機、それに電子攻撃機といった攻撃兵器の取得は、専守防衛の原則を踏みにじるものだ」などといった問題提起がなされているが、そうした日本固有の空想的平和主義者による議論はさておいて、より軍事的に重大な問題が横たわっている。それは、日本政府・国防当局の「戦略なき武器調達」、それも「安易に輸入に頼る調達」という姿勢である。
日本は特異な輸入国
いうまでもなく主要兵器の調達先のほとんどはアメリカである。日本政府や国防当局には、アメリカから主要兵器を輸入することによって日米同盟が強化されるという考え方が存する。また、弾道ミサイル防衛システムや新鋭戦闘機のような超高額兵器、それほどではないにしても極めて高額な水陸両用戦闘車輛などの高額兵器を多数購入することにより、日米貿易におけるアメリカ側の貿易赤字低減に資するとの考え方もある。