11月29日、北朝鮮は「火星15号」と称するICBM(大陸間弾道ミサイル)の試射を実施した。米軍当局の計算では、通常軌道で発射された場合にはアメリカ全域が射程距離にすっぽり収まるという。いよいよ北朝鮮がアメリカ領内を核攻撃できる能力をほぼ確実に手にしつつあることが確実な状況に立ち至ってしまった。
トランプ大統領は、すでに半年以上も前から軍事オプション発動をほのめかしているが、実際には中国の影響力が発揮されることを期待しつつ経済制裁を中心とした外交的解決のための努力を継続してきた。しかし、これまでのところ、全く成果は認められない。事態は悪化をたどる一方である。
トランプ政権のオプションは?
北朝鮮に確実な対米核攻撃能力を手にさせないために現在トランプ政権がテーブル上にのせているオプションは、大ざっぱに言って以下の3通りである。
(1)外交的解決
国際社会とりわけ中国の北朝鮮への影響力をより強化させて、北朝鮮にこれ以上のICBM開発を思いとどまらせる──少なくとも停止させる。
(2)限定的予防戦争
北朝鮮のICBM、移動式発射装置ならびに関連施設を軍事攻撃して完全に破壊する。
(3)徹底的予防戦争
上記軍事攻撃と同時に、金正恩ならびに政権首脳たちを葬り去る──少なくとも軍とのコミュニケーションを分断し(「斬首作戦」と呼ばれている)、可能ならば核関連施設を接収する。