トランプ大統領が国連はじめ公の場で北朝鮮に対して“口撃”を連発している。マティス長官も「韓国国民に犠牲が出ない方法での先制攻撃」という“秘策”(もちろん具体的内容は明かされていない)の存在を口にして、軍事的オプション(つまり予防戦争を名目とした先制攻撃)をちらつかせている。
そして、9月23日には、グアムを飛び立った米空軍B1-B爆撃機が、沖縄を発進した米空軍F-15戦闘機の護衛のもと日本海を北上して北朝鮮領空に接近するという威嚇飛行を実施した。
しかしながら、いくらトランプ大統領が言葉で牽制しようが、マティス国防長官が“秘策”の存在をほのめかそうが、B1-B爆撃機が威嚇飛行をしようが、金正恩政権が現段階でアメリカに屈服する可能性は極めて乏しい。なぜならば、「中朝友好協力相互援助条約」(以下、中朝同盟条約)が存在しているからだ。
中朝同盟と日米同盟の違い
中朝同盟条約第2条は、「両締約国は、共同ですべての措置を執り、いずれの一方の締約国に対するいかなる国の侵略をも防止する。いずれか一方の締約国がいずれかの国または同盟国家群から武力攻撃を受けて、それによって戦争状態に陥ったときは他方の締約国は、直ちに全力をあげて軍事上その他の援助を与える」と規定している。これはいわゆる参戦条項であり、日米安保条約第5条よりも強力な軍事同盟関係を謳っているということができる。
日米安保条約第5条前段は、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」と規定している。