北朝鮮は遂に9月3日午後0時29分頃、6回目の核実験に踏み切った。
同日午後3時半の朝鮮中央テレビは「重大報道」として、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載のため、水爆実験に完全成功した」と発表。「前例のないほど強力な爆弾」による実験で、核物質などの外部流出はなかったと説明した(『BBC News Japan』2017年9月3日)。
その出力について、米国の北朝鮮分析サイト『38ノース』は、地震の強度がマグニチュード(M)6.1に達したとみられることから、威力は約250キロトンに達するとみている。
テラー・ウラム型の核分裂・核融合・核分裂の3段階を経てメガトン級の出力を出せる、本格的な水爆の実験に成功したかどうかは、まだ分からない。
北朝鮮の発表と異なり、韓国原子力安全委員会は8日、放射性物質キセノン133が韓国内で検出されたと発表しており、放射能が漏洩している可能性がある。
本当に水爆実験に成功したのか?
また核実験をするのか?
出力からみる限り、テラー・ウラム型にしてはまだ出力が小さすぎ、今回は必ずしも完全な成功とは言えない可能性が高い。そうであれば、今後さらに核実験を繰り返す可能性が高い。
500キロトンから1メガトン以上の出力が出なければ、水爆としての本来の出力を達成したとは言えないであろう。
しかし、今回の達成出力からみて、テラー・ウラム型の本格的な水爆の開発を北朝鮮が目指していることは明らかになった。
5回目の実験規模の出力では、北朝鮮自らは「水爆」と称しても、出力が12キロトンから最大20キロトン程度とみられた。そのため、せいぜい核融合物質を、原爆の起爆直前に微量注入し、中性子の発生率を高め出力を5倍程度強化する「加速型」原爆に過ぎないと見られた。3段式のテラー・ウラム型の1段目の実験であったとも言えるかもしれない。
今回の実験は、その成果を踏まえた、本格的な3段式のテラー・ウラム型の水爆の初めての実爆試験であったと言えよう。
特に出力が一挙に前回に比べ10倍以上増大したことから、一応3段目の核分裂まで連続的に起爆することには成功したとみられる。
しかし、設計上期待された出力に達したのかどうかは不明だが、1段目の核分裂により発生した高温、高圧のX線などによる核融合物質の圧縮が効率的にできず、2段目の核融合と3段目の核分裂が、未成熟に終わった可能性が高い。
そうであるとすれば、更なる出力の向上、効率化を目指し、核実験が繰り返されることになる。