売上高がずっと2億円ほどだった会社が2年後には10億円を突破した。中堅社員が次々と辞めていた企業では社員の定着率が上がり社員が辞めなくなった。1年で売上高8%、経常利益が約10%上がった・・・。

 目を見張るような変革を遂げている中小企業がいま続々と誕生している。成長への切符を手にしたこうした中小企業でいったい何が起きているのか――。

 経営者が代わったのか。いや違う。新しい経営哲学を導入したのか。それも違う。では画期的な技術や販売方法を開発したのか。それも正解ではない。

中小企業ならではの落とし穴

 クラウド型の人事評価制度を導入した結果なのだ。

 中小企業に大企業のような人事評価制度は必要がないと思われるかもしれない。社員一人ひとりに社長の目は行き届くので、会社の方針と評価がリンクしやすく、社員の声も直接経営者が吸い上げられる。

 しかし、ここに大きな落とし穴があった。

 社長の見方は属人的で若い社員には実は不満がたまっている。成果を上げてもきちんと給与が上がる仕組みになっていないために社員のやる気が削がれている。精神論がまかり通り、必要もないのに夜遅くまで働く・・・。

 社員と経営者の距離が近いことに結果的にあぐらをかいて効率的に働き成果を出す仕組みができていなかったのだ。

 さらに、人余りから人材不足へ社会は急激な変化を起こしている。若い人たちの考え方も古い世代とは大きく変わり始めている。そうした中で、古い慣性力のかかった経営を続ければ社員のモチベーションは下がってしまう。

 ここに目をつけた企業がある。クラウド型人事制度を構築・運用している「あしたのチーム」という会社だ。