ミズーリ州セントルイスにあるモンサントの研究所「MONSANT CHESTERFIELD VILLAGE RESEARCH CENTER」(筆者撮影、以下同)

 2017年8月にアメリカ穀物協会から「持続可能性に貢献するアメリカの最新農業技術」を視察しないかとの招待をいただき、視察旅行に参加してきた。アメリカ穀物協会はアメリカ産穀物の輸出振興を行う非営利団体で、毎年日本のメディア関係者を対象とした米国視察を企画している。私以外の参加者は新聞記者3名、雑誌記者1名、大学教授2名、フリージャーナリスト1名であった。

 なぜ私に声がかかったのかというと、日本モンサントが推薦状を出してくれたからだ。私は現役の畜産農家であると同時に、昨年、日本モンサントを取材していた。今回の視察先の1つにモンサント社があることから、モンサントの本社に行ってみないかと誘っていただいたのである(参考「遺伝子組換の総本山、モンサントの本当の目的とは?」)。

 そういうわけで、今回から4回にわたって、私が見たアメリカ農業の姿について書いてみたい。まずは視察1日目のモンサント社訪問から書いていこう。

モンサントの使命は人口増加に立ち向かうこと

 訪問したのは、ミズーリ州セントルイスにある「MONSANT CHESTERFIELD VILLAGE RESEARCH CENTER」、要するに研究所である。

 受付を通るとピロティがあり、モンサントの事業や主張を表現するオブジェがいくつか置かれている。個人的に感心したのは、液晶掲示板で変わっていく人口増加のメッセージだった。

 曰く、
「1日でセントルイスの人口」
「7日でトロントの人口」
「30日でデリーの人口」
「1年で日本の人口」
が、世界で増えているという(下の写真)。

 内容は深刻だが、日本という単語が出てきてなんとなく嬉しかったのは、私が日本人だからだろう。

世界の人口増を示すオブジェ。人類は1年で日本の人口分増えている