自衛隊がドローン1個で壊滅する日
そもそも、三自衛隊のすべてがドローンディフェンダーのようなドローン迎撃用の装備もなく、訓練もしていない。
地対空ミサイルでドローンを迎撃するのは、自衛隊のただでさえ少ない弾薬量を減少させるだけだし、レーダーに映るのかも微妙だ。実際、英国王立防衛安全保障研究所のジャスティン・ブロンク氏も「パトリオットでドローンを撃墜したという事例は明らかに費用対効果が悪く、現代の高価な装備の軍隊が安価で容易に利用できる民間技術に苦戦する課題を露呈している。また、パトリオットのレーダーは、小型ドローンを効果的に狙うのは難しい可能性がある」と指摘している。
もちろん、小銃で迎撃するというのもあるだろう。だが、多くの人間が小銃での迎撃は難しいと語る。そもそもの問題は、平時と有事の葉境期において、自衛隊が不審なドローンを小銃なりミサイルなりの実弾を使用できるかである。しかも住宅が近接している状況で、である。法的に自衛隊が平時に不審な基地に近づく小型ドローンを撃墜が可能かという問題もある。要するに、事実上、能力的、法的に小型ドローンによる自衛隊への攻撃は死角となっている。
しかし、こうしたドローンは家電量販店で数~10万円で購入可能であり、操縦も簡単で目立たない。あとは工作員が焼夷手榴弾等を持ち込めば、簡単に那覇基地等を機能停止に追い込むなり、高蔵寺弾薬庫からのミサイル搬出中に一気に爆破して弾薬欠乏にさせるなり、自衛隊の宮古島に配備した地対艦ミサイルを破壊するなり、あらゆる攻撃が可能である。また、ハメス氏やバンカー氏が指摘するように民間インフラへの脅威も重く受け止めるべきだ。
しかも、こうしたロシア軍のやり方を、A2/AD戦やドローン戦を我が国以上に重視している中国や北朝鮮が真似しないはずがない。その意味で「数万円のドローンで自衛隊は1日で壊滅!」というのは、誇張であっても虚偽ではないのである。今やドローン対策のための装備・訓練・態勢の導入こそ急務なのだ。