実際、ウクライナではこの2年間、そうした攻撃が上記以外にも以下のように相次いでいる。
・2015年10月29日、スヴァトヴォ弾薬庫が爆破され、3000トンの弾薬が1700軒の民家を巻き込んで吹き飛ぶ。
・2015年12月、小型ドローンがバラクリヤ弾薬庫に少なくとも14個の手榴弾を投下。
・2017年2月17日、ザポロジエの弾薬庫が爆発した。
・同年3月14日、ドネツク近郊のウクライナ軍施設が無人機攻撃を受ける。
これらの攻撃で使用されたのはZMG-1手榴弾だったという。この手榴弾はテルミット式で、爆発するのではなく2200度以上の高熱で炎上し、厚さ1.27cmの鋼板を溶かすことができる。
戦略家たちが重大な懸念
こうした事実は、欧米の戦略家たちの間で重大な危機感を持って受け止められている。
例えば、日本でも「オフショアコントロール戦略」の提唱者として知られ、我が国の防衛省とも交流がある元米海兵隊大佐、国防大学上席研究員のトーマス・ハメス氏は、メディア取材に対して、ドローン攻撃の威力を次のように語っている。
「脆弱な目標であれば、弾頭が小さい無人機でも大ダメージを相手に与えることができる。爆薬は必要ない。なぜなら、すでにそこにあるからだ。この意味で駐機中の航空機も危ない。液化天然ガス施設、石油化学製品工場、燃料貯蔵施設も危ない。また、危険な化学物質の貯蔵タンクは爆発はしないが、破裂すれば壊滅的な影響を与える可能性がある。1984年のボパールの事故では、工場からメチルイソシアナートガスが誤って放出され、3000人以上が死亡した」