海兵隊は、強襲揚陸艦から垂直離着陸が可能な大型無人戦闘機を開発中だという。写真はワスプ級強襲揚陸艦の飛行甲板に並べられたMV-22B オスプレイ(資料写真、出所:Wikipedia

 圧倒的な質、量を手に入れつつある中国軍に対し、米海兵隊は軍事イノベーションを活用して対抗しようとしている。今回はその取り組みの内容と意味するところを紹介しよう。

中国軍の攻撃で在日米軍は瞬時に壊滅?

 6月29日、米シンクタンクのCNAS(新アメリカ安全保障センター)注目すべき発表を行った。トーマス・シュガートとヤビエル・ゴンザレスの2人の現役米海軍中佐が公開情報とシミュレーションを駆使して分析したところ、在日米軍は中国軍のミサイル攻撃で一瞬にして壊滅してしまうというのだ。

 彼らは日本各地の在日米軍に関係する飛行場、港湾、司令部、通信施設、燃料タンク、その他の重要インフラを500カ所リストアップし、それらに中国軍がミサイルを撃ち込むというシミュレーションを行った。

 まず、発射から15分以内に、沖縄、西日本、北陸、岩手以北等を射程に収める1200発の短距離弾道弾と、日本全土を射程に収める200~300発の中距離弾道弾が日本列島を襲う。その後、爆撃機と地上発射型巡航ミサイルが第2波として襲来する。これに対し、日米のPAC-3とイージス艦は物量で圧倒され、一部を除き迎撃はほとんど不可能である、というのが2人の見立てである。

 そして、彼らが導き出した結論は、「米軍はTHAADをさらに調達し、日本に事前配備しておくべきである。数十億ドルのミサイル防衛は、数十億の船舶、航空機、施設、人命を救えるのだから」というものであった。

 実は米国ではこうした見解は今や決して珍しくはない。実際、ミサイルだけではなく、艦艇でも中国軍の戦力強化は目覚ましい。2016年に中国海軍が就役させた主力艦艇は11隻だった。それに対して、米海軍は3隻、海自はたった1隻である。