謎の「おっぱい揉み祭り」をはじめ、なぜか荒唐無稽なデマがしばしばささやかれる雲南省。北京から遠く離れた辺境ゆえか。(筆者撮影)

 2016年秋のトランプ大統領の当選以来、「フェイクニュース」という言葉が一気に市民権を得た感がある。これは日本を含めた各国に見られる風潮だが、むろん中国も例外ではない。と言うより、中国は世界有数のデマ大国だと言っていい。

 情報を統制されたメディアに、7億人をこえるネット人口。加えてメディアのウェブ版は新聞発行部数最大の『環球時報』なども含め、アクセス増加を目的にして他のネット記事をウラを取らずにガンガン転載する。加えて中国人はネットの普及前から、公的な報道よりも知人の口コミに信を置きがちな傾向がある――。当局発表からしてホンモノとニセモノの区別が困難なだけに、中国においてまことしやかなデマはいっそう説得力を持ちやすい。

 本稿では、こうした中国発のデマのなかでもホームラン級に豪快で笑える話を一挙に紹介していくことにしよう。

[1] 童貞の魂を慰める? 謎のおっぱい揉み祭り

・・・いわく、中国雲南省の少数民族、イ族の間では、千数百年前より伝わる秘祭が存在する。すなわち旧暦の7月14~16日の3日間、雲南省楚雄イ族自治州の𥔲嘉鎮では男性が自由に村内の女性のおっぱいを揉みまくって構わない「摸奶節(おっぱい揉み祭り)」が開かれるというのだ。祭りの期間中、村の若い娘たちは片方の乳房を服から露出させ、男性に揉ませてあげる(もう片方は将来の夫のために取っておくらしい)。男性はおっぱいを揉み、女性は揉まれることで、それぞれご利益があると伝わる。双方がウイン・ウインのまことにめでたい祭りである。