OPECは5月25日の総会で、事前の予想通り「今年1月から実施してきた減産措置を来年3月まで延長する」ことを決定した。減産幅・減産実施国数はこれまでと変わらない(OPECは日量約120万バレル減産、非OPECは約60万バレル減産、減産実施国は世界の石油生産シェアの約55%を占める25カ国)。
このOPEC総会の決定を受けて、米WTI原油価格は1バレル=52ドル台で推移している。しかし内容に新味がなかったことから市場で失望感が広がり、原油価格は約5%減の1バレル=48ドル台に急落した。
OPEC諸国には、これまで減産合意の遵守率は高かったものの世界の原油在庫が目に見える形で減少しなかったため原油価格が当初想定に反して低迷したとの反省がある。そこで今回の減産合意では、「来年3月までに世界の原油在庫を過去5年平均と同水準にまで減少させる」という目標を設定した。
ブルームバーグの試算によれば、「減産措置を来年3月まで延長すれば世界の原油在庫は過去5年平均を下回る」という。そうなれば主要加盟国の悲願(原油価格を1バレル=60ドル以上に上昇させる)が達成できるというわけだったが、その願いは出鼻から挫かれてしまった。
今回は、原油価格の変動要因と言われている「需給要因」を中心に「金融要因」「地政学要因」にも考慮しながら、今後の原油価格の動向を占ってみたい。