原油価格は相変わらず1バレル=53~54ドルの「ボックス圏」内で推移している(相場の取引レンジは過去10年で最小となっている)。
2月24日、OPECとロシアなど主要産油国が共同で設立した監視委員会は、「1月の原油生産量は、減産目標である日量約180万バレルの86%を削減した」と成果を強調した。ロイターによれば、2月のOPECの原油生産量は前月に比べて3万バレル減少した。このところOPEC閣僚らが減産合意の履行状況について「素晴らしい」や「前例にない」などと称賛する発言が目立っている。
だが、成功だったと判断できる客観的な根拠、すなわち“世界的な供給過剰が縮小している”という確固たる証拠(在庫の減少など)は、今のところ明らかになっていない。
ガソリン市場は供給過剰
むしろ現時点で在庫に関する最も信頼できるデータである米国の商業用原油在庫は、反対の動きを見せている。
世界最大の原油消費国である米国の在庫は、主要産油国が減産を開始した1月1日以降3900万バレル増加し、史上最高水準となっているのだ(約5億1800万バレル)。その主な要因は、米国の原油生産量が2016年10月以降、日量約50万バレル増加していることにあるとされている。2月24日時点の石油リグ稼働数は前週比5基増の602基となり、原油生産量は日量900万バレルの大台を超え昨年4月以来の高水準となった。
原油在庫に加えてガソリン在庫が史上最高水準にある(約2億5900万バレル)ことも懸念され始めている。1月のガソリン需要はリセッション(景気後退)期並みに減少した。