2017年に入り1カ月が経ったが、米WTI原油先物価格は1バレル=52~53ドル台のボックス圏で推移している。
1月からのOPEC加盟国の減産(日量120万バレル)とロシアなどの非OPEC諸国の減産(日量60万バレル)が下支えになる一方、米国の石油掘削装置(リグ)稼働数が着実に増加していることなどが上値を抑えるという展開になっている。
協調減産は順調に進んでいるが・・・
主要産油国の減産状況を見てみよう。
1月22日にウィーンで「OPEC共同閣僚監視委員会」(JMMC)が開催され、会議終了後「堅調な減産遵守状況に満足する」といった声明が発表された。またサウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は1月20日、「OPECおよび一部非OPEC産油国による減産で日量150万バレルの原油が世界市場から排除された」と発言した。
個別に見ていくと、OPEC第1位のサウジアラビアは1月初めに合意の水準である日量48.6万バレルの減産を既に達成したとされている。OPEC第2位のイラクのリアイビ石油相も1月23日、「既に日量約18万バレルの減産を実施しており、1月末までに減産合意の水準(日量21万バレル)に達する」と発言した。当初懸念されていた外国石油会社との減産交渉も順調であるという。OPEC以外では日量30万バレルの減産を約束したロシアのノヴァク・エネルギー相が1月21日に「1月の原油生産量が当初見込みの2月よりも早く日量10万バレル減少した」と述べた。
減産当事国の発言に加えて、第三者機関も減産の着実な実施を裏付け始めている。1月30日、タンカー追跡会社ペトロロジスティクスは、タンカーの追跡記録から「OPECは1月の原油生産量を日量90万バレル削減する」との見通しを明らかにした。この水準はOPECが合意した減産幅の約75%に相当し、上出来と言ってよい(1月31日ロイターも「減産の実施率は82%である」と報じた)。