ベネズエラ、大統領の退陣求め大規模全国デモ

ベネズエラの首都カラカスで、ニコラス・マドゥロ大統領の退陣を要求するデモに集まった人々。経済危機により食料や医薬品が不足する中、大統領の辞任を求める声が高まっている。(2016年10月26日撮影)。(c)AFP/Federico PARRA〔AFPBB News

 12月10日、OPECと非OPEC産油国がオーストリアのウィーンで閣僚級会合を実施し、非OPEC産油国が合計約56万バレルの減産に合意したことで、原油価格は1年5カ月ぶりの高値となった(週末の時間外取引でWTIは1バレル=54ドル超、ブレントは同57ドル超となった)。しかし、上げすぎた反動から、原油価格は早くも大幅に下落している(12月12日のWTIは52ドル台、ブレントは55ドル台)。

 その理由の1つとして、米国の石油リグ稼働数が引き続き増加基調にあることから、米国の原油生産量が増加するとの警戒感が高まっていることが挙げられる。

 また、原油先物市場全体が「コンタンゴ(期近物の価格が期先物の価格よりも低い状態)」から「バックワーデーション」(期近物の価格が期先物の価格よりも高い状態)になったことも懸念材料だろう。

 増産を準備し始めたシェール企業等が1年後以降の「先物売り」を活発化させたため、2017年半ばから2019年にかけての原油先物市場は既にバックワーデーションの状態になりつつあった。しかし、今回の減産合意によって、2017年前半までバックワーデーションになってしまった。

 大手石油取引会社はコンタンゴの状態の下では、洋上で原油を貯蔵すること(いわゆるタンカー備蓄)で将来の利益を得ようとしてきた。だが、バックワーデーションとなると貯蔵によって得られるリターンが用船コストを下回ることになる。減産合意の予期せぬ結果として、洋上貯蔵されている数百万バレルの原油が市場に放出され、産油国の減産による価格上昇を抑制する可能性が高まっているのである(12月8日付ブルームバーグ)。