朴槿恵(パク・クネ=1952年生)氏の罷免で早期実施になった韓国の大統領選挙は9日に投票日を迎える。
進歩系の文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)氏と接戦を続けていた安哲秀(アン・チョルス=1962年生)氏が終盤で大失速した。その原因は、最大勢力の保守層が最後まで揺れに揺れたためだ。
「いったい誰に投票したらいいのか?」
「誰に投票すればいいの?」
ここ1週間に会った韓国の知人から何度同じことを聞いたか。
筆者は、ソウルで韓国の大統領選挙を見るのはこれで5回目になるが、今回ほど直前まで「誰にするか?」と迷っている話を聞いたことがない。
韓国では、投票1週間前になると新たに実施した世論調査の公表は禁止になる。最後に世論調査を見ても、20%前後の有権者が態度を決めかねている。
選挙への関心が低いわけではない。5月5日までに実施された「事前投票」。投票した有権者数は1100万人を超えた。全体の26%がすでに投票を済ませた。
高い「事前投票」 空港でも簡単に
「事前投票」は大統領選挙に関しては今回から手続きが大幅に簡素化された。有権者は、旅券や住民登録証などを持参すれば、全国どこの投票所でも投票できる。例えば、仁川国際空港にも投票所ができ、連休を利用して海外旅行に行く有権者が出国前にさっと投票できる。
それにしても、26%というのは、専門家の予想を大幅に上回る数字だ。一方で、「誰に投票すればいいのか?」迷う有権者も多い。その理由の1つは、韓国では多数派と見られる保守層が最後の最後まで迷っているからだ。
今回の大統領選挙は、朴槿恵氏が罷免になったことで急遽、繰り上げ実施される。国民の間で朴槿恵政権に対する失望が強く、この政権を支えた保守系の候補は、最初から当選可能性はほぼないと言われてきた。
一方で、進歩系は、前回の大統領選挙で朴槿恵氏に敗れた文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)氏が早々に出馬意思を明らかにして「不動の本命」として着々と準備をした。