朴槿恵容疑者が拘置所へ、韓国大統領から「収容者503番」に

韓国・ソウルの中央地検から拘置施設に身柄を移される朴槿恵前大統領(後部座席右、2017年3月31日撮影)〔AFPBB News

 2017年3月31日、ソウル中央地裁は韓国の検察が請求していた朴槿恵(パク・クネ=1952年生)前大統領に対する逮捕令状を発布した。大統領職から罷免されてから3週間で朴槿恵氏は拘置所に入ることになった。

 3月30日、朴槿恵氏は、午前10時30分からソウル中央地検で開かれた逮捕令状を発布するかどうかの審査に直接出席した。韓国メディアによると検察の主張に全面的反論した。

 それから18時間たった31日午前4時30分。自宅を出た時に乗っていた「大統領経験者に対する警備車両」ではなく、「検察の護送車両」でソウル郊外の「ソウル拘置所」に入った。

 拘置所に行く前に自分で検察のトイレで化粧を落とし、「すっぴん」になった顔は落胆と疲労で明らかにやつれが見えた。

実弟が自宅訪問

 30日午前9時過ぎ。ソウル中央地検に向かう直前の時間帯に、朴槿恵氏の自宅を実弟の朴志晩(パク・チマン=1958年生)氏が弁護士である妻とともに訪れた。

 韓国メディアによると、朴槿恵氏が弟と会ったのは2014年2月、朴志晩氏夫婦に次男が生まれた時、前大統領が「おしのび」で病院を訪れて「新しい甥」を見て以来だという。姉弟とはいえ、3年ぶりの面談だった。

 朴志晩氏は、罷免になってさらに逮捕の可能性も出ていた姉を前に声を出して泣いたという。同氏はさらに、姉を見送った後、国立墓地に眠る両親の墓参りをした。

 朴槿恵氏は、大統領就任後、弟との連絡を絶っていた。歴代の大統領に相次いだ「家族のスキャンダル」を見て、不祥事を防ぐためにこうした措置をとっていたのだ。

 企業家である朴志晩氏は、朴槿恵氏を巡る一連のスキャンダルの中心人物である崔順実(チェ・スンシル=1956年生)氏とその父親で「自称牧師」の崔太敏(チェ・テミン)氏に対して批判的だった。

 盧泰愚(ノ・テウ=1932年生)政権(1988~2003年)時代には、「姉(朴槿恵氏)を崔太敏氏から救ってほしい」という趣旨の「嘆願書」も大統領に提出している。

 そんな経緯があったにもかかわらず、朴槿恵氏は、弟を遠ざけ、崔順実氏との関係を維持したのだ。

 「むしろ弟が近くにいたら・・・」。こんな声すらあるが、遠ざけられていたにもかかわらず、弟は、今後、姉を全面的に支援し、必要な援助もする意向だという。