大統領府退去の朴氏、憲法裁決定への反発姿勢に非難も

韓国・ソウルの私邸に到着した朴槿恵(パク・クネ)前大統領(2017年3月12日撮影)〔AFPBB News

 2017年3月10日、韓国で史上初めて大統領が罷免になった。朴槿恵(パク・クネ=1952年生)氏は、12日に自宅に戻り、「民間人」としての生活が始まった。

 大統領選挙は5月9日実施が決まり、当面は「落ち着きのない政局」が続く。産業界では、経済への影響を懸念する声も出ている。

 3月10日午前11時20分過ぎ、憲法裁判所で「罷免」決定が出た瞬間、朴槿恵氏は、失職した。対国民メッセージを出してすぐに青瓦台(大統領府)を出るのかと思いきや、そうはならなかった。

罷免後も青瓦台に

 「自宅の準備ができていない」という理由で、さらに2日間居座った。12日日曜日の夕方、朴槿恵氏は秘書陣などと挨拶を交わして青瓦台を出た。青瓦台から自宅があるソウル市内の江南(カンナム)まで、警備陣と取材陣の猛烈なカーチェイスが繰り広げられた。

 前大統領を乗せたリムジン車は時速100キロを超えるスピードで疾走する。テレビ局の車両、オートバイがこれを追いかけるが、警察のバイク部隊が接近できないように割り込む。生中継はなかなかの見ものだった。

 自宅周辺には朴槿恵氏を支えた国会議員や秘書官がずらりと並ぶ。さらに周辺には、太極旗(国旗)を持つ熱烈な支持者が大勢詰め掛けた。

 車から降りた朴槿恵氏は、意外なことに笑顔だった。支持者に手を振り、国会議員などとは挨拶を交わす。青瓦台代弁人を務めた国会議員を通してコメントを出したが、中身は、驚きを誘った。

 「一連の問題は私が抱えていく」「真実を必ず明らかにする」

 謝罪というよりは、徹底抗戦表明だったからだ。

 「経済も大変で、国民が一体になるべき時期なのに・・・」

 ある財閥幹部は、こう嘆いてみせた。次期大統領選挙は5月9日の火曜日に決まった。これまでの冬の寒い選挙と異なり、一転して「桜の時期」の選挙戦になることが決まった。

 誰が大統領になっても難題山積だ。数多くの政策課題の中でも「経済」を懸念する声は強い。

歴代政権と経済成長率

 構造的に見ると韓国もはっきりと、「低成長」に向けて進んでいる。歴代政権の平均成長率は以下のようになっている。

朴正熙政権(1962年~1979年)  10.2%
全斗煥政権(1980年~1987年)  10.1%
盧泰愚政権(1988年~1992年)   9.1%
金泳三政権(1993年~1997年)   7.8%
金大中政権(1998年~2002年)   5.3%
盧武鉉政権(2003年~2007年)   4.5%
李明博政権(2008年~2012年)   3.2%
朴槿恵政権(2013年~2016年)   2.9%