(文:首藤 淳哉)
人生も半ばを過ぎてようやくわかったことがある。それは「逢いたい」だの「好き」だのといったホステスの甘い言葉は、真に受けてはいけないということだ。
「は? その歳でようやく? バカじゃないの」という冷ややかな声が聞こえてきそうだ。いかにも。バカなおじさんであることは自覚している。
だが、経験者だからこそ、放っておけないということもあるのである。ましてやその人物が、まだそれほど社会を知らない人間ならばなおのこと。
パブ初体験がフィリピンパブ
作者:中島 弘象
出版社:新潮社
発売日:2017-02-16
ここにひとりの青年がいる。親しみを込めて、「ナカシマくん」と呼ぶことにしよう。地方都市のごく平均的な家庭に生まれ、地元の大学の大学院で国際関係学を専攻する真面目な好青年だ。
そんなナカシマくんがある時、恋をした。「よかったな、やるじゃんナカシマくん!」普通だったら肩を叩いて祝福するところだろう。
だが、ナカシマくんが「実は・・・」と口を開いた途端、おじさんの顔色は変わるのだ。