潘氏「10億円返すべきだ」=少女像撤去と関連なら-韓国

早くも大統領選へ名乗りを上げた前国連事務総長の潘基文氏(1月12日仁川空港で撮影)〔AFPBB News

 大統領選挙はいつ実施されるのか。韓国の政界やメディアではこの話題で持ち切りだ。

 朴槿恵(パク・クネ=1952年生)大統領(現在は職務停止中)の弾劾訴追案に対する審理が憲法裁判所で続いているが、あたかも「弾劾」を前提としたような動きが目立つ。

 「弾劾審判早まる 憲法裁判所、2月末可能性」

「2月中にも結論」(?)

 2017年1月23日、「毎日経済新聞」は1面でこう報じた。なんと気の早い話か。同紙は「万一」とは振りながらも「大統領の弾劾が決まれば、大統領選挙は"桜の選挙"として4月末に実施なる見通しだ」と報じた。

 ソウルで桜が咲くのは、例年なら4月半ばだ。投票日は桜の開花よりかなり後でも、選挙戦が本格化しているのは桜が舞う時期という意味だ。

 繰り返しになるが、憲法裁判所では大統領の弾劾訴追案を審理中だ。いつのその結論が出るのかはまったく分からない。憲法裁判所も予告などしていない。審理期間は「180日間まで」でまだまだ余裕がある。

 それでも、韓国の政界はメディアでは「憶測」があとを絶たない。

 「3月説」――もっともそれらしく語られているのがこの説だ。憲法裁判所の所長の任期が1月末。もう1人の裁判官の任期も3月半ばだ。この頃に結論が出るという見方だが、これもあくまでも「憶測」に過ぎない。

 もっと分からないのが、罷免なのか、棄却なのかだ。審理が続いているのだから、分かるはずもない。大統領に対する批判はメディアで連日出ているが、大統領側はほとんどすべてを否定している。

 弾劾が棄却となり、大統領が職務復帰する可能性もあるのだ。

 韓国の憲法によると、弾劾の場合、その日から60日以内に大統領選挙を実施する。棄却の場合、すぐに朴槿恵大統領が職務に復帰する。

 どうなるかまったく分からないのだが、「次」を狙う候補は、当然、「最も早い場合」を想定して準備に入る。

 3月半ばに罷免なら選挙は5月半ば。棄却なら当初予定通り12月だが、2月中に罷免になれば4月選挙も可能性としてはあるのだ。候補者が動き出すも無理がない。時間がないのだ。

「旧正月連休」を前に相次ぐ動き

 韓国では1月27日(金曜日)から30日(月曜日)までが「旧正月」の連休になる。

 多くの国民が、故郷に帰りゆっくり過ごす。この場で、社会や政治の話もふんだんに出る。

 万一、4月や5月に大統領選挙があるのだとしたら、候補者にとっては、この連休で「あの人が良い」という話題に上らなければ話にならない。

 だから、先週末以来「出馬声明」を出したり、事実上の選挙活動に入る動きが相次いでいるのだ。

 「職務復帰」を目指す朴槿恵大統領にとっては、なんとも複雑な心境だろう。

 朴槿恵大統領が職務復帰しても、12月には大統領選挙がある。だから、その場合は、実質的な運動期間が長くなるだけで、いま、名乗りを上げている候補の間での選挙戦になることは確実だ。だから国民の関心もなかなかなものだ。

 では誰が有力なのか。

世論調査は・・・

 世論調査会社、リアルメーターが2017年1月3週目に発表した世論調査の順位はこうだ。

① 文在寅(ムン・ジェイン=1953年生) 前野党大統領候補
② 潘基文(バン・ギムン=1944年生)  前国連事務総長
③ 李在明(イ・ジェミョン=1964年生) 城南市長
④ 安哲秀(アン・チョルス=1962年生) 国民の党国会議員
⑤ 安熙正(アン・ヒジョン=1964年生) 忠清南道知事
⑥ 黄教安(ファン・ギョアン=1957年生) 首相(大統領権限代行)


 各種世論調査では、李明博(イ・ミョンパク=1941年生)、朴槿恵大統領と続いた保守政権に代わって「進歩系政権」を支持したいとの声が高い。