2016年12月6日は、韓国の産業界、特に財閥にとって歴史的な1日になった。
サムスングループの李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)氏(サムスン電子副会長)、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン=1960年生)会長など韓国を代表する財閥の総帥9人が国会に証人として出席し、大統領と長年の知人を巡るスキャンダルなどに対して与野党議員の執拗な追及を受けた。
この日、国会に国政調査証人として出席した財閥総帥は、他に鄭夢九(チョン・モング=1938年生)現代自動車グループ会長、具本茂(ク・ボンム=1945年生)LGグループ会長、金昇淵(キム・スンヨン=1952年生)ハンファグループ会長、辛東彬(シン・トンビン=重光昭夫=1955年生)ロッテグループ会長、趙亮鎬(チョ・ヤンホ=1949年生)韓進グループ会長、孫京植(ソン・ギョンシク=1939年生)CJ会長の8人と、全国経済人連合会の会長として出席した許昌秀(ホ・チャンス=1948年生)GSグループ会長の合わせて9人だ。
財閥からの不透明な資金の流れ究明が目的
国政調査の目的は、朴槿恵(パク・クネ=1952年生)大統領と長年の知人である崔順実(チェ・スンシル=1956年生)氏に関連した一連のスキャンダルと財閥との関係を追及することだった。
崔順実氏が設立に関与したとされるスポーツ、文化関連の財団に財閥が資金を拠出した経緯などが焦点だ。与野党議員の関心は、資金拠出の「見返り」があったのかどうか。財閥総帥が大統領と単独で会った際に、大統領から直接資金拠出の要請があったのか、などだった。
サムスンに対しては、財団への資金拠出以外に乗馬選手である崔順実氏の娘に高額の馬を購入するなどほかにも資金供与があった。この経緯について関心が集まった。
テレビで生中継
国政調査は地上波3局すべてとCATV向け専門チャンネルなどが一斉に生中継した。筆者も長時間視聴した。
何よりも関心を引いたのは、財閥総帥というのはいったいどういう人物なのかという点だ。
ほとんどの総帥はめったに外部に姿を見せない。出てきたとしても、会社の行事での挨拶や、不祥事があった際の「謝罪声明発表」くらい。
そういう場合でも、記者会見で質問を受ける機会などほとんどない。部下が準備した原稿を読み上げるだけだ。
だから、国会議員とのやり取りで、生の声を聞くことができる貴重な機会だった。
何しろ、この日国会に出席した韓国の財閥だけで韓国のGDP(国内総生産)の半分以上を占める。そんな巨大財閥で絶対的な権限を持つ総帥とはどういう人物なのか。関心は尽きなかった。
圧倒的標的はサムスン副会長
この日の質疑で、圧倒的な集中砲火を浴びたのは、予想通りサムスンの李在鎔副会長だった。韓国メディアは、90%の質問が李在鎔副会長に集中したと報じた。
「あなたの財産は?」
「正確には・・・」
「8兆ウォンです。では、相続税はいくら払ったのか?」
「正確には・・・」
「16億ウォンと言われています。そういうことも知らないのですか? では、資料提出を要求します」