「初の容疑者大統領」=弾劾は不可避の社説-韓国紙

韓国・ソウルで、検察官による尋問後に移送される崔順実容疑者(2016年11月19日撮影)〔AFPBB News

 韓国の朴槿恵(パク・クネ=1952年生)大統領を取り巻くスキャンダルは、毎日急展開している。2016年11月20日、韓国の検察は、大統領の長年の知人や秘書官2人を起訴したが、大統領についても「共謀」だと発表した。

 大統領府(青瓦台)や大統領の弁護士はこれに全面的に反論している。大統領はいったいどうなるのか。

 11月20日、ソウル中央地検特別捜査本部は、大統領の知人である崔順実(チェ・スンシル=1956年生)氏、青瓦台で政策調整首席秘書官、経済首席秘書官を歴任した安鍾範(アン・ジョンボム=1959年生)氏、チョン・ホソン前付属秘書官を起訴した。

地検特別捜査本部発表

 国民の関心がきわめて高いため、捜査本部長が記者会見を開き、8ページの「捜査結果発表」という資料も配布した。

 起訴内容はすでに日本でも詳細に報じられている通りだ。

 11月20日に発表になった起訴内容で注目できる点はいくつかある。1つは、言うまでもなく、「大統領と共謀」と断定したことだ。

 「捜査結果発表」の資料によると、検察は「現在までに確保した証拠資料を根拠に、被告人である崔順実、 安鍾範、チョン・ホソンの犯罪事実中、相当部分について大統領と共謀関係にあると判断した」と説明した。

 そのうえで「しかし、憲法84条で規定してある現職大統領不訴追特権のため、起訴することはできない」と述べている。

 「世論の圧倒的な大統領批判を受けて、検察も苦悩の選択だったのだろう」。韓国紙デスクは20日の発表をこう見る。

 20日の起訴内容で何よりも最も注目を集めたのは「大統領にどう言及するか」だった。

 検察は大統領本人に対する直接事情聴取を繰り返し求めていた。大統領も11月4日の「対国民談話」で検察の捜査に協力する意向だったが、崔順実氏らの起訴期日までには実現しなかった。

検察、予想以上の踏み込み

 強制捜査や秘書官の備忘録、携帯電話機に残っていた大統領からのメッセージなどの証拠はあるものの、事情聴取もなしに「共謀」と踏み込んだことは、「予想以上の強硬姿勢」との見方もある。

 2つ目は、犯罪内容だ。崔順実氏に対しては、「職権乱用」「強要」「強要未遂」「詐欺未遂」、安鍾範氏に対しては「職権乱用」「強要」「強要未遂」、チョン・ホソン氏に対しては「公務上秘密漏洩」が適用された。

 崔順実氏と安鍾範氏は、文化、スポーツ関連の2つの財団を設立し、「職権を乱用して」全経連(全国経済人連合会)加盟の53社に総額774億ウォン(1円=10ウォン)の拠出を「強要した」ことなどで起訴された。

 韓国メディアは、2つの財団の問題については、より重い「第3者賄賂罪」の適用を検討していると報じていた。検察は20日、「99%立証可能な場合のみ立件した」と説明した。

 賄賂罪を適用できるかどうかなどについてはさらに捜査を続ける見通しだ。