早期実施の可能性も出ている韓国の大統領選挙で、有力候補だった潘基文(バン・ギムン=1944年生)前国連事務総長が早々と出馬を断念した。
世論調査で独走を続ける文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)氏がこのまま走るのか。急変はあるのか。サバイバルレースが本格化してきた。
2017年2月1日午後、潘基文氏は緊急記者会見を開いて、出馬断念を表明した。
恨みつらみの会見
「さばさばした退場」とは正反対の、恨みつらみに満ちた内容だった。
「政界の旧態依然たる利己主義に大いに失望した」
「こういう人たちと一緒に歩むことが無意味だと判断した」
「純粋な愛国心から(の出馬)だったのに、人身攻撃とさまざまなニセニュースのせいで政治改革という名分が消えてしまった」
潘基文氏は、この日の会見直前まで、与野党の首脳を相次いで訪問していた。前日には、大統領選挙前に憲法を改正することを提案し、有力政治家や政党に協力を呼びかけたばかりだった。
選挙事務所も改装工事に入っており、「あまりにも唐突だ」という声も出ている。本人は、「前夜、じっくり考えて出した結論だ」と説明するが、それでは、当日与野党の首脳を訪問したのはどうしてだったのか。
いずれにせよ、相当思いつめて切羽詰った決断だったようだ。
「そのうち降りるんじゃないかと…」
「ああ、やっぱり・・・」
だが、有権者の多くは、こういう反応だったはずだ。1日夕方に会った有力企業の社長はこう話す。
「昼の約束から帰ってしばらくしたら、潘基文氏が出馬を断念したというニュースが入ってきた。保守系の候補だから投票しようかと考えてはいたが、一方で、最近の言動を見て、そのうち降りるんじゃないかと思っていた」
こういう反応をあちこちで聞いた。