2017年を迎えるにあたり、ドナルド・トランプ次期大統領(以下トランプ)が政権初期に採ると思われる政策とその因果関係について予測したいと思う。
まずトランプが真っ先に行うと口にしていることから述べていきたい。1月20日の就任式直後、トランプは「オバマケア(米版国民皆保険)」を廃止すると繰り返し発言している。
だが施行されている保険制度を大統領の一存で中止することはできない。「オバマケアを廃止する」との意思を示せても、トランプ政権と共和党は代替案を準備できていないため、すぐに廃止すると健康保険を失う国民が多数出てしまう。
オバマケアが導入される前、米国には約4700万もの人が保険に入っていなかった。施行後、約2000万人が健康保険を手にすることができたが、オバマケアでも全国民はカバーしきれていない。
選挙中の勇ましい言動はどこに
残りの約2700万人は未保険のままである。しかもオバマケアの施行後、多くの加入者の月々の掛け金が上がり、オバマケアに反対する人が増えた。
仮にトランプが共和党主導の健康保険法を成立させたとしても、オバマケアのように多くの未加入者を救済できるとは限らない。
そのため、すぐに廃止するという過激な発言は現実的ではない。しかもトランプは当選後、オバマケアの条項の一部を維持するしており、選挙中の勇ましい言動は失せている。
トランプが就任初日に行動すると明言していることはまだある。環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱である。