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ブロックチェーンは社会全体を変えていく「理念」なのか?(写真はイメージ)

(文:堀内 勉)

 本書『ブロックチェーン・レボリューション』は2016年5月に発売され、全米でベストセラーになった"Blockchain Revolution: How the Technology Behind Bitcoin Is Changing Money, Business, and the World"の邦訳である。本書の表書きを見ると、次のように書かれている。

「インターネットに比肩する発明によって社会の全分野で起きる革命の預言書

世界経済に将来、最も大きなインパクトを与える技術が誕生した。人工知能でも、自動運転車でもない。IoTでも、太陽エネルギーでもない。それは、「ブロックチェーン」と呼ばれている。クレイトン・クリステンセン(『イノベーションのジレンマ』著者)、スティーブ・ウォズニアック(Apple共同創業者)、マーク・アンドリーセン(Netscape開発者、Facebook取締役)、伊藤穰一(MITメディアラボ所長)らが激賞する普及版にして決定版」

 本書を読了して、ブロックチェーンの本質を最もコンパクトに表現しているのは、伊藤穰一氏の、「インターネットが情報革命を起こしたように、ブロックチェーンは信頼に革命を起こすだろう。これはあらゆることを変える可能性を秘めた技術だ」という文章だと感じた。

 ブロックチェーンは、取引相手や取引内容が本当に信頼できるものなのかという、ビジネスや人間関係における最もベーシックな部分の不安を取り除き、その信頼性を確保するためのコストを限りなくゼロに近づける技術である。インターネットは情報を扱うシステムとして調査と調整のコストを削減したが、ブロックチェーンは価値を扱うシステムとして契約、監視、実行などのコストを削減するのである。