食事のメニュー、本当に自分で選んでいますか?

「食の環境」は「食」をどう変えるか(前篇)

2016.10.21(Fri)漆原 次郎

――そもそも、どうして食の意思決定が無自覚になりがちなのでしょうか。

木村 人には、人の行動の原因を「環境や状況のせい」でなく「人のせい」と考える傾向があるのです。これを「対応バイアス」といいます。

 たとえば、外食のとき、自分だけで店に入った場合と、誰かと一緒に店に入った場合では、同じ空腹状態でも異なる料理を頼むことがありますよね。そのとき人は、異なる料理を選ぶ理由を、「誰かと一緒にいるから」でなく、「自分がこれを食べたかったから」と思いがちなのです。

 こうした対応バイアスが働くため、「環境や状況のせい」つまり外的要因であることを自覚しづらいのだと思います。

「場所」が風味の感じ方を、「産地」が摂食量を変える

――食の外的要因の研究が活発になってきたとのことですね。

木村 はい。海外では米国や欧州で研究が進んでいます。

――どんな成果が出ているのでしょうか。

木村 食事の「場所」が、料理の味覚や嗅覚の評価にも影響を与えるという研究があります。食や消費者行動の心理学などを研究するハーバート・メイセルマン氏は、2000年に英国と米国で、同じメニューの料理を学生食堂とレストランで実験参加者に提供し、食後に料理の好みなどを評価してもらう実験をしています。

 その結果、英米どちらでもレストランでの料理のほうが好ましく評価されたといいます。さらに、メインディッシュで出されたチキンフェットチーネについては、風味の感じ方そのものも、レストランで出されたほうがより良いとする評価が出たといいます。

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