食事のメニュー、本当に自分で選んでいますか?

「食の環境」は「食」をどう変えるか(前篇)

2016.10.21(Fri)漆原 次郎

――他にはどんな研究成果がありますか。

木村 2007年には、先ほど食の意思決定の回数の実験で触れたもワンシンク教授が、示されたワイン産地の違いが食の行動に影響を与えるという研究成果を発表しています。次のようなものです。

 決められたコース料理が出される大学レストランで、中味の同じ赤ワインを実験参加者たちに振るまい、半分の参加者には「カリフォルニア産です」と説明し、もう半分の参加者に「ノースダコタ産です」と説明しました。カリフォルニアは有名なワイン産地ですが、ノースダコタはそうではありません。

 すると「カリフォルニア産」と説明を受けた参加者たちのほうが、「ノースダコタ産」と言われた参加者よりも料理を食べた量が多く、また食事時間も長かったといいます。「カリフォルニア産」というブランド物のワインとともに提供されたのだから「料理も素晴らしいだろう」という強い期待が生まれ、摂取量も食事時間も優ったものと考えられています。

 ある物事を評価するとき、1つの側面に好ましい特性を感じると、他の側面も確かめることなしに好ましい特性を感じてしまうことを「光背効果」といいます。このワインの実験では、ワイン産地というブランドが光背効果をもたらしたのだと見られます。

食生活を改善のため“つい食べてしまう”を研究

――食の意思決定における外的要因を研究する社会的背景は、どのようなものでしょうか。

木村 無自覚に食べてしまうことに対する問題意識があります。どうして人は“つい食べてしまう”のか。その原因を研究していく。それとともに人々に自覚的な食事を促す。それにより、人々により健康的な食生活をしてもらうというモチベーションがあります。米国や欧州で研究が盛んであるのも、こうした問題意識が関係しているものと思います。

――意識的な食事を増やしていくことが重要ということですね。

木村 はい。自分自身も、それに向けた研究の一端を担えればなと思っています。

――では後篇で、木村さんの研究の内容と成果を伺いたいと思います。

後篇へ続く)

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