パリ協定、来月4日に発効へ EUなどの批准で発効要件満たす

仏パリでの国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)の開催期間中に、「プランB(代替案)はない」というメッセージが表示されたエッフェル塔(2015年12月11日撮影、資料写真)。(c)AFP/PATRICK KOVARIK〔AFPBB News

 国連は10月5日、気候変動に関する国際的合意「パリ協定」の締約国の温室効果ガス排出量が世界全体の55%を超えて発効の条件を満たしたので、11月4日に発効すると発表した。アメリカのオバマ大統領は「地球を守る闘いにおいて歴史的な日だ」と歓迎する意向を表明した。

 しかし日本政府はパリ協定の国会承認を求める議案を11日にも閣議決定する方針で、主要排出国の中では遅れている。これをNGO(非政府組織)などが批判しているが、政府が渋っている原因は簡単だ。協定を承認しても、その目的の実現は不可能だからである。

パリ協定は実現不可能である

 パリ協定は京都議定書以来、18年ぶりの気候変動対策の国際的な枠組みだ。先進国だけに温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書と異なり、発展途上国を含む世界の190カ国以上が参加し、2100年までに世界全体の排出量増加を実質的にゼロにするという野心的な目標を掲げている。

 今後どれぐらい地球温暖化は進むのだろうか。これは大論争の続いているテーマで、誰も確実なことは分からない。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書のシミュレーションも次の図のように大きな幅があり、世界の地上平均気温は2100年に今より1~4℃上がると予想されている。

世界の平均地上気温の上昇(出所:IPCC第5次評価報告書)