これまでに問題となったリーダーを見ていると、こんな傾向が見受けられる。
リーダーの仕事は皆がモチベーション高く働けるための場を作り、決断し、責任を取ることである。にもかかわらず私欲が強過ぎる者がリーダーとしての権限を持つと、保身に走り、リーダーとしての機能を果たそうとはしない。
その結果、その組織の士気は下がり、一体感を失い、業績も低迷する傾向にある。そのため、私欲と公欲のバランスの良さがリーダーには求められる。
ある人間を出世させるということは、他のメンバーに対して、「うちの会社はこういう人間を評価するんだよ」というメッセージを発信することでもある。
そのメッセージに共感できなければ、従業員の会社に対する信頼は低下していく。また、出世したいと願う従業員は出世している人間の動きを参考にしようとする。
リーダーの資質を見抜く目
リーダーとしての資質の有無は考慮せず、プレイヤーとして仕事ができる人間を出世させているのであれば、他の従業員にも「プレイヤーとして仕事ができさえすればいいんだな」という意識が蔓延していくだろう。
実際、リーダーとしての資質を考慮せず、プレイヤーとしての実績を見て部下を出世させた結果、苦い経験をした経営者は、リーダーとしての資質を備えていない人間を出世させてはいけないことの大切さを身に沁みて分かっている。
「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」
古代中国の時代よりこの言葉が存在したことを考えると、いつの時代もリーダーとしての資質を備えていない者がリーダーになったことによる悲劇は繰り返されているのだろう。
どの組織においてもリーダーとしての資質を備えた人材を渇望している。それは国という単位でも同じことが言える。時代は混迷を極めれば極めるほどに、優れたリーダーを求める。
そういった時代に現れた優れたリーダーは、後の世に「英雄」と呼ばれることがある。年々進む少子高齢化、迫り来る人工知能の脅威、悪化する国際情勢。まさに日本は混迷を極めようとしている今、企業においても国においても、リーダーとしての資質を持った人材の活躍が求められる。
どういった人材をリーダーに抜擢すべきか。今一度、真剣に考えなければいけない時が来たように思う。