業界の技術革新のスピードは日に日に加速し、価格競争の激化とともに商品の単価は下げざるを得ず、売り上げはこのところずっと減少傾向。それでも年功序列的に給与は上げていかなければならない。
売り上げは下がり、人件費は上がり、利益がどんどん食い潰されていく。にもかかわらず、従業員は危機意識を持つこともなくモチベーションが低い。
と言うか仕事に対する温度感が低い。言われたことしかやろうとしないし、自分の頭で考えて、自ら率先して動こうという気持ちが感じられない。なるべく余計な仕事はしたくない、責任も負いたくないという意識が蔓延している。
さらには人が頻繁に辞めていく。採用して1か月で辞めるような人間も少なくない。このままではいずれ会社は潰れる。会社を潰すわけにはいかない。
組織風土の改革は必須
私は公認会計士・税理士であるとともに、経営心理士として企業の経営を数字と心理的側面から分析して経営改善を行うコンサルティングを行っている。その中でこういった状況に悩む経営者や管理職の方とお会いする機会は少なくない。
こういった状況で手をつけるべきところはたくさんあるが、その中でも組織の風土を変えることは必須になる。
組織の風土を変えると言っても上から厳しく言うだけだと、部下の心は閉ざされたまま面従腹背の状態となり、根本的な変化は生まれない。
根本的な変化をもたらすためには、そういった厳しさの前提として、職場の雰囲気の良さや部下を気遣う温かさが存在する必要がある。
この職場の雰囲気の良さや部下を気遣う温かさを根づかせるための取り組みとして、部下のためを思い、部下を認めるコミュニケーションをとることは欠かせない。
ただ、そういったコミュニケーションは相手や周囲の反応次第では継続することが難しくなる。