祭りの季節。何人かの人から神輿を担いだという話を聞く。私は神輿を担いだことはないが、話を聞いていると相当な重労働のようだ。
担ぐ棒は肩に食い込み激痛が走る。とはいえ1人でも倒れたりすると神輿が倒れるため、倒れることは絶対に許されない。
そんな苦痛と責任に耐えて神輿を最後まで担ぎ切った後の達成感は相当なものだという。そして、こんな話を聞いた。
「嫌いな奴でも一緒に神輿を担いで最後まで担ぎ切った達成感を一緒に味わうと、仲良くなっちゃうんですよね」
類似性の法則
この言葉に私は強い関心を持った。類似性の法則という心理学の言葉がある。人は自分と近似している相手に親近感を覚えるという心理的傾向を表した言葉である。
この近似しているという感覚は目標を共有し、その目標に対して同じ感情を共有する相手にも抱くものである。
そのため、人は同じ目標に向かって苦楽を共にし、その上で目標を達成した時の達成感を分かち合えると、その相手に親近感を覚えるようになるという性質を持っている。
あまり親密な関係ではない者同士でも、同じチームのメンバーとしてスポーツの試合をしたりすると、敵を倒すという共通の目標に対して緊張感を持ってプレーをするという苦楽を共にし、試合で勝ったりすると強い達成感を一緒に味わうことになる。
そのため、チームメンバーは一気に打ち解けた関係になりやすい。
発表会やイベントの出し物など、人前で披露するものを成功させるためにチームを組んで練習に取り組み、いざ本番を迎え、無事にやり遂げた後の達成感を味わうとそのメンバー同士の親密性はぐっと高まる。
こういった性質を考えると、昔の人が祭りという風習を創ったのも生きていくための大事な知恵だったと感じる。