私は公認会計士であるとともに、企業の経営を心理的側面から分析して経営改善を行う経営心理士として、経営コンサルティングを行っている。
このコンサルティングの中で、現場での人間関係に頭を抱え、相手をどうにか変えたいと思っている方からのご相談を受ける時、こんな質問をされることがある。
「人を変えることって可能でしょうか?」
幼少期の子供ならまだしも、数十年生きてきた人間を根本的に変えることは不可能とは言わないまでも並大抵のことではない。その質問をされた際、私はこう答える。
その人との関係性は変えられる
「その人そのものを変えることは難しいですが、その人との関係性は変えることができます」と。
人と人との関係性は互いの行動や発言、態度などが影響し合って形成される。そのため、一方がその行動、発言、態度を変化させると、その関係性にも何らかの変化が生まれる。
自らの行動、発言、態度は何も変化させることなく、一方的に相手が変わるのを期待すると、変わらない相手を見てストレスを自らの中にため込んでいくのみであり、それが続けば健康を害することにもなる。
そのため、「相手を変えたい」と考えている方には、まず自分から相手に対する行動、発言、態度を変え、相手との関係性を変えることを提案している。
「相手が変わらないのに、なんで自分の方から変わらないといけないのか」と意固地になる方もいる。確かにお気持ちは分かる。
ただ、相手が変わらないことで苦しむのは自分であり、意固地になって自分を変えようとしなければ、結局は自分が苦しみ続けるだけである。ずっと変わらない現状を苦しみ続けるか、自分から変わろうとするか、どちらが自分のためになるかを思えば考え方も変わる。