Lightnings flash over windmills of the Odervorland wind energy park near Sieversdorf, eastern Germany, on August 1, 2017./AFP PHOTO/dpa/Patrick Pleul

 私は公認会計士であるとともに、企業の経営を心理的側面から分析して経営改善を行う経営心理士として、経営コンサルティングを行っている。経営のご相談を受ける中で、人のご相談は絶えない。

 例えば、こんな部下の扱いに頭を抱えているという相談をよく受ける。

 仕事をやらせるとそつなくこなすし、頭の回転も速い。しかし、何かで結果を出すとすぐに調子に乗り、態度が大きくなったりする。一方で、結果を出せないと誰かの責任にするか、周りの状況が悪かったと言って自分の非を認めずに、自分を正当化しようとする。

 また、こんな上司に悩まされているという相談もよく受ける。

成功は自分のおかげ失敗は他人のせい

 部署で何らかの成果を出すと自分独りの手柄にしようとし、部下の労をねぎらったり、感謝の言葉をかけたりしようとはしない。一方で、部署で何か問題が起きた時は部下の責任追及に終始し、自分に監督責任があったことを認めようとはしない。

 成功は自分のおかげ、失敗は他人のせい。上司であれ部下であれ、そんな言動が目につく人材の扱いに頭を抱えているという相談は多い。こういった人間は組織の中でトラブルメーカーとなる。

 自己奉仕バイアスという言葉がある。

 これは、成功した時は自分の能力によるものだとし、失敗した時は外部の環境に原因があると思い込む傾向を表す。

 この自己奉仕バイアスは、他者の成果を過小評価し、自分の成果を過大評価する、あるいは、自分の失敗を過小評価し、他者の失敗を過大評価する思考をもたらす。

 このバイアスは組織や集団レベルでも生じ、組織や集団レベルのバイアスは集団奉仕バイアスと呼ばれる。こういったバイアスが強く働く個人や組織は周囲とトラブルを引き起こしやすくなる。