内閣府が実施した「外交に関する世論調査」によれば、中国に親しみを感じない日本人が8割に達するという。同調査が始まって以来、最悪の結果である。日本では中国人の反日感情が懸念されているが、この調査では日本人の反中感情が浮き彫りになっている。
一方で、日本を訪れる中国人の観光客は増え続けている。日本を旅行して日本に好感を持つ中国人は間違いなく増えている。それに対して、なぜ日本人の対中感情は悪化し続けているのだろうか。
これについては専門家の間でも見方が分かれている。例えば、中国で行われている反日教育が原因の1つだという指摘がある。確かに胡錦濤時代に繰り返し起きた反日デモは日本人の中国イメージを悪化させたに違いない。しかし、習近平政権になってから反日デモは起きていない。
また、中国人観光客のマナーの悪さを問題視する専門家もいる。2年前まで中国人観光客のマナーの悪さは際だっていた。だがここ2年来、中国人観光客のマナーは大幅に改善されている。中国国家旅遊局がすべての旅行会社に対して、海外に行く観光客のマナー教育を義務付けたことが大きい。もしも観光客が重大なマナー違反を犯すと、担当の旅行社とガイドはペナルティを受け、場合によってはライセンスが取り消される可能性もある。
つまり、日本人の対中イメージが悪化した理由を、特定の要因に結びつけることはできない。